栃木県窯業技術支援センターの窯業技術交流会に参加してきました。
HOSHIZAKIさんから「食洗器に対応した陶磁器商品づくりをするために」
センターからの研究紹介で「各種粘土を用いた陶器の食洗器耐久性に関する研究」
というテーマのお話でした。
ようするに今回のお話の焦点は『益子焼は食洗器で洗えるのか』です。
で、結論から先に申し上げますと
あくまでこうじんやの見解ですが
益子焼は食洗器で『洗える』と言って良いと思います。
ただし、使用する際に注意すべき点と
絶対ではないので若干のリスクは自己責任でお願いします。
以下、こうじんや的まとめ。
まず、HOSHIZAKI(ホシザキ)さんの会社紹介から始まり、
食器洗浄機の歴史や仕組みについての説明がありました。
世界で最初の食器洗浄機は1850年代に作られたとか、
実用に使えるのは1887年頃に登場、
現在の方式は1906年に考案されたそうです。
日本では東京オリンピックを機に
ホテル建設ラッシュで輸入されたそう。
国産は1970年頃に出てきたそうです。
また、業務用と家庭用で色々と違ってまして。
家庭用は洗浄タンクとすすぎタンクの区別はなく
都度給水と全排水し、ヒーターで加温しながら洗浄するので
洗浄時間はすすぎや乾燥を含めて60分ほど。
そして家庭用は洗剤の力で汚れを落とすそうです。
対して業務用は水のタンクが洗浄とすすぎで分かれていて
すすぎで使われた水が洗浄に継ぎ足されるので
洗浄が約80秒、すすぎが6秒ほどで完了。
乾燥は余熱による自然乾燥。
また業務用は水圧で汚れを落とすのだそうで
水圧は何もなければ16m程の高さになるとか。
そして食洗器耐久試験ですがHOSHIZAKIさんの業務用で行われ、
洗浄・すすぎ・自然乾燥・冷却を500回繰り返して
目視と打音検査しましたが変化はなかったそうです。
(試験の詳しい条件等の資料は窯業技術センターで)
すべての土や釉薬、焼成条件で試験した訳ではないので
絶対とは言い切れませんが益子焼は
食器洗浄機の水圧や熱等で割れないと言えるかと思います。
業務用食器洗浄機の中の様子
では、なぜ『益子焼は食洗器で洗えない』という話があったのか。
ホシザキさんのお話や資料、出席された皆さんとのお話を総合して
こうじんや的に推測した仮説ですが
1.ラッキング
洗浄機に入れるラックにセットする際に
重なったり詰め込みすぎたり
器同士が近いと水圧でフチが当たったりして欠けたのではないか。
これはホシザキさんも導入の際に飲食店さんには使い方として説明しているそうです。
2.つけ置きや下洗い
食器洗浄機は万能ではないので落ちない汚れもあります。
その為にシンクに水を張ってつけ置きや下洗いをする必要があるそうです。
ピーク時はシンクいっぱいに食器が入るので
その際に器同士が当たっているのではと考えられます。
3.洗浄成分で変色
業務用食洗器の洗剤は家庭用よりもアルカリ性の強い液体です。
従って素材によっては変色してしまうとか。
その中でクリスタルグラスやカットグラスは白く濁る場合があるそうで
もしかしたらガラス化した釉薬の中に変色する物があるのかも。
(このあたりが使っても絶対に大丈夫とは言えない部分です)
4.最後のキッカケ
これは食洗器か手洗いに限らず、日常で使用していて起こりえることですが。
ダメージが蓄積していって破損に至る最後のキッカケがたまたま食洗器だったとか。
これに関しては長くなりますので後日、別記事で書けたら。
という事でこうじんや的には
家庭用も業務用も食器洗浄機での洗浄は可能
(ただし使い方に注意と万が一の変色のリスクは保証できません)
ホシザキの営業さんが言ってましたが
洗濯機でも素材や汚れ具合によっては手洗いしますので
食器洗浄機も上手に使っていただければとの事です。
以上、参考になれば幸いです。
栃木県窯業技術支援センターhttp://www.iri.pref.tochigi.lg.jp/index.php?id=122
HOSHIZAKI https://www.hoshizaki.co.jp/